恋愛禁止(ホラー)
いろはちゃんが急いで立ち上がり、札を受け取る。


「うん。寮内で風邪が流行っているみたいで、何人か入らなかったの」


「そっか。ありがとう」


パタパタと手を振るいろはちゃん。


あたしはその手にある札を思わずジッと見つめてしまった。


もう、こんな時間なんだ……。


あの髪の毛を見て以降、お風呂の時間になるとジットリと汗がにじみ出る。


「ツムギちゃん、大丈夫?」


「うん……いろはちゃんが一緒だから大丈夫」


あたしは自分に言い聞かせるように、そう答えたのだった。

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