恋愛禁止(ホラー)
小さな湯船に半分無理やり2人の体を押し込むと、お湯が一気に流れ出した。


「ふふっ。さすがに2人入るときついね」


「本当。出たらお湯なくなっちゃうね」


2人分の笑い声がお風呂の中に響く。


いろはちゃんと2人で入っていると時間が過ぎるのもあっという間で、あたしはあの視線も肌寒さも、そしてあの髪の毛も見ることがなかった。


やっぱり、精神的なものだったのかな……。


目を閉じてシャンプーをしながら、あたしはそう思う。


自分が思っている以上にあの噂を気にし過ぎていたのかもしれない。


「ツムギちゃん、あたし先に出てるけど大丈夫?」
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