恋愛禁止(ホラー)
「うん。あたしも髪の毛洗ったらすぐ出るから大丈夫だよ」


目を閉じたままそう返事をすると、ドアの開閉音が響いた。


あたしも早く出よう。


そう思いシャワーの蛇口をひねる。


するとその瞬間。


今まで一切感じなかったあの視線を感じたのだ。


一瞬、金縛りにあったように体が動かなくなる。


「い……いろはちゃん……まだいるの?」


そう声をかけるが、浴室から返事はない。


あたしは急いで泡を流し振り返った。


浴室内には誰もいない。


すりガラスのドアの外からはいろはちゃんの鼻歌と、影が見える。
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