恋愛禁止(ホラー)
☆☆☆

しかしそこから先は特に目につく事件や事故はなく、時間だけが過ぎていく。


もうなにも見つからないのかもしれない。


そう思っていると部屋にノック音が響いた。


「お風呂順番だよ」


隣の部屋の子が、いつも通りそう言って札を置いて行く。


あたしはジッとその札を見つめた。


「ツムギちゃん、今日はお風呂どうする?」


「……どうしよう……」


そう呟きそっと自分の髪に手を触れる。


あのヌルヌルとした長い髪はもう捨ててしまったけれど、まだ気持ち悪さが残っている。


「また一緒に入る?」


「……ううん。あたし1人で行ってくる」


そう言い、あたしは札を持って立ちあがった。
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