恋愛禁止(ホラー)
階段を上って一番手前の部屋の前で伊達先生は立ち止まった。


黄色く変色した表札には【廣瀬琢磨・柚乃】と、手書きのかすれた文字が書かれている。


ここが、廣瀬柚乃の実家……。


あたしはゴクリと唾をのみ込み、そっとインターフォンを押した。


部屋の中から、インターフォンの音が聞こえてくる。


しかし、しばらく待ってみても誰も出てこない。


「平日の昼間だし、留守かもしれないな」


竜季がそう呟く。


あたしはもう1度インターフォンを鳴らした。


すると、薄い壁を隔てて足音が聞こえてきた。


誰かいる!


そう思うと同時にドアが開き、中から70代前後に見える男性が姿を現した。

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