恋愛禁止(ホラー)
あたしはすぐに挨拶をするつもりだったけれど、男性のやつれた姿を見ると言葉を失ってしまった。


痩せすぎて骨と皮だけになった体。


頬もこけ皮膚もシワだらけのため、目だけがギョロリと大きく見える。


伸び放題の白髪に、口の周りには無精ひげが生えている。


男性はあたしたち3人をジロリと見た後「なにか用か」と、意外にもしっかりした声で言った。


その声にハッと我に返ったあたしは、慌てて口を開いた。


「あ、あの。あたしたち松林高校の者です」


そう言うと男性はハッとしたように口をあけ、そして無言のまま玄関を大きく開いた。


「お邪魔してもいいんですか?」


竜季がそう聞くと男性は無言のまま顎をしゃくってあたしたちを室内へと促したのだった。
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