恋愛禁止(ホラー)
☆☆☆

伴王介の家は学校の隣街にあった。


あたしも何度か家族で訪れたことのあるその街の、古い大きな家が伴王介の実家だった。


広い庭には白いファミリーカーが一台止まっていて、家の中からは小さな子供たちのはしゃぎ声が漏れて聞こえてきた。


「なんか、さっきと全然雰囲気が違うね」


「あぁ。そうだな」


「伴の家は大家族だって聞いたことがあるからな」


あたしたちの会話に伊達先生はそう答え、玄関のチャイムを鳴らした。


こげ茶色の引き戸がすぐに開き小学3年生くらいの女の子が「だぁれ?」と、小首を傾げた。


「あ、お姉ちゃんとかお兄ちゃん、いるかな?」


あたしはその子に身長を合わせてしゃがみ込み、そう聞いた。


すると女の子は嬉しそうに笑い「ちょっと待っててね!」と言うと、家の奥へと消えて行った。


「小さな妹がいるんですね」


「あぁ。たしか9人兄弟と言っていた」


先生の言葉にあたしと竜季は目を見開いた。
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