恋愛禁止(ホラー)
そう説明をしている途中で、足元に小さな男の子が駆け寄ってきた。


見たところ幼稚園くらいの子だ。


伴王介にはこんなに小さな弟までいたのかと、あたしは竜季と目を見交わせた。


男の子はお姉さんの足にしがみつき、おやつをねだっている。


「悪いけれど、あたしにそんな事を話している時間はないのよ」


「あ、あの……少しでいいんです! 話を聞かせてください!」


閉められそうになるドアの前で、必至で食い下がる。


「あのね。うちは去年両親が事故で他界したの。


これだけの兄妹をあたしと、今仕事に行っている長男とで育てているの。王介の事はあたしだって気になるけれど、過去を振り返っている暇なんてないのよ」


そう言うと、お姉さんは完全に玄関のドアを閉めてしまった。
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