恋愛禁止(ホラー)
あたしはどうすることもできず、そのドアを見つめる。


「ツムギ、これ以上説得しても無理だ。今日はもう帰ろう」


「でも……せっかくここまで来たのに……」


このまま何もわからないまま帰るなんて、嫌だった。


だけど、しつこく訊ねて完全に怒らせてしまうことも避けたい。


「また時間のある時に連れてきてやる。お前ら、車に乗れ」


伊達先生に促され、あたしは渋々車へと向かうことになった。


また時間のある時っていつだろう。


それまでに、あたしは無事でいられるんだろうか?


足を引っ張られたあの感覚を思い出すと、とても平気ではいられなかった。


得体の知れないものにいつ殺されるかわからない。


そんな恐怖心がふつふつとわいてくる。


そして、車の助手席のドアを開けたとき、後ろからバタバタと走って近づいてくる足音が聞こえて、あたしたちは動きを止めた。
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