恋愛禁止(ホラー)
お風呂場はいつものように気味の悪い雰囲気に包まれていた。


足を踏み入れた瞬間、ヒヤリとした空気が体を包み込む。


ゾクゾクと体をかけめぐる虫唾に毛を逆立てながら、あたしはシャワーの蛇口を捻った。


湯船につかると今度こそ連れていかれてしまうかもしれない。


そう懸念したあたしはシャワーで済ませることにしたのだ。


お湯を目いっぱい出しているのになかなか暖かくならないシャワーに、焦りを感じながらも体を洗う。


体に絡み付いてくる視線は徐々に強さを増していき、全身を拘束するようだった。


けれどあたしは歯を食いしばり、その恐怖に耐えた。


彼女があたしの前に現れるということは、あたしに何か伝えたいからに決まっている。


「あたしに何か言いたいことがあるんでしょう!?」
< 208 / 316 >

この作品をシェア

pagetop