恋愛禁止(ホラー)
しかし……。


さっき出てきたばかりのドアが開かないのだ。


それぞれの部屋に鍵はついていないのに、びくともしない。


「いろはちゃん! ねぇ、起きて!!」


大きな声でそう言っても中からは何も返事がない。


泣き声の主に『お前が1人で来い』と、言われている感覚に陥る。


あたしはそっと部屋から離れ、その声がする方向へと足を進めた。


それはいつのもお風呂場から聞こえてきているようで、足元から徐々に寒い空気があたしを包み込んで行った。


ゆっくり、ゆっくりと脱衣所のドアを開ける。


壁にある電気のスイッチを押すけれど、電気は反応しなかった。
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