恋愛禁止(ホラー)
「それ以来、彼らの姿を見た者はいない……」


先生の話を聞き終えてあたしはギュッと自分の体を抱きしめた。


閉じ込められて亡くなったということは、何日も何週間も食べられず苦しい思いをしたのだろう。


まさか、そんなむごい殺され方をしていたなんて思ってもいなかった。


「その……逢い引きの場所ってどこですか?」


きっと今でも2人はそこにいる。


死んでも死にきれず、幸せな寮生の恋人を許せないでいる。


「わからない……。俺も、人づてに聞いた噂話しか知らないんだ」


伊達先生はそう言い左右に首を振った。


「そうなんですか……」


だけどあの女性の正体も成仏できない理由もわかった。


あとは2人が閉じ込められてしまった場所さえわかれば……。


そこまで考えて、ハッとする。


2人の秘密の場所……それはあそこしかないじゃないか!


そう気がついたあたしは踵をかえし、事務室を後にしたのだった。
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