恋愛禁止(ホラー)
☆☆☆

急いで事務室を出たあたしがやってきたのは、お風呂場だった。


いろはちゃんがここで亡くなったため、今は使用禁止の札がかけられている。


「柳井! お前急にどうしたんだ!」


追ってきた伊達先生が後方からそう声をかけてくる。


「2人が閉じ込められた場所って、おそらくここです」


「風呂場か……?」


先生は瞬きを繰り返して、立ち入り禁止の札を見つめる。


「あたしといろはちゃんが奇妙な出来事に遭遇したのは、いつもでこの場所でした。きっと、ここに何かあるハズです」


そう言い、あたしはドアノブに手を触れた。


そのノブはいつも以上に冷たいような感覚がした。


「女子寮の風呂場に男子生徒が入れるとは思えないがな」


「普通に考えればそうだと思います。でも、2人は見つからないように逢い引きをしていたんですよね?


だとすればこのお風呂場にはなにか別の場所へ続く道があると思うんです」

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