恋愛禁止(ホラー)
金縛りのように身動きを取れなくする視線。


「あ……あ……」


瞬きをすることもできず、あたしは目からボロボロと涙があふれ出した。


それでも視界はハッキリとしていて、鏡の奥から這い出して来ようとしているソレを見ていた。


ソレは長い髪を地面に引きずらせながら、四つん這いになって暗闇の中から姿を現す。


ソレは額から血を流し、白い服のあちこちにウジ虫をまとわりつかせている。


そしてソレは……今、あたしの目の前まで来ていた。


人間ではないソレはあたしの体に手を伸ばし、氷のように冷たい指先であたしの腕を掴んだ。


「やっ……!!」

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