恋愛禁止(ホラー)
咄嗟に振り払おうとしても、その力はすさまじくビクともしない。


その力にあたしの腕はギリギリと圧迫され、体がきしむ。


痛みと恐怖で狂いそうになりながらも、荒い呼吸を繰り返し彼女を振りほどこうとする。


喉の奥に張り付いた悲鳴は助けを呼ぶことさえ許さない。


それでも彼女はあたしを解放することなく、その腕に力を込め続けた。


そして彼女はあたしの体に両腕を絡み付かせ、そしてあたしをジッと見上げてきたのだ。


その目にはズルズルと引きずり込まれてしまいそうな、暗い闇がある。


「あっ……あっ……」


聞かなければいけない。


どうして亡くなったのか。


あたしにどうしてほしいのか。


立っている事もやっとな状態でガクガクと膝を震わせる。
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