恋愛禁止(ホラー)
「なにか用か」


低い声でそう言われ、あたしはハッと我に返った。


「あ、あの……。新入生です……」


蚊の鳴くような小さな声でそう言うと、その先生は無言のままあたしに背中を向けて歩き出した。


付いて来いってことで、いいのかな?


そう思い、あたしは慌てて先生の背中を追った。


焦げ茶色のギシギシとキシム廊下を、足早な先生に一生懸命ついて行く。


そして連れてこられた先は1階の一番奥にある2人部屋だった。


そこまでたどり着くと先生はまた無言のまま向きを変え、事務室へと戻って行く。


「あ、ありがとうございました!」


後ろ姿にそうお礼を言いながらも、不思議な先生だなぁと首をかしげる。


「なんかちょっと怖いかも」

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