恋愛禁止(ホラー)
しかし……。


昨日竜季が言っていた通り、窓の外には猫一匹も見当たらない。


けれど体に絡みついてくる視線は消えなくて、あたしはそっと浴槽内へと視線を戻した。


一体、どこにいるの……。


見えない恐怖に心臓がバクバクと悲鳴を上げる。


次第に、昨日のようにどんどん浴槽内の気温は下がって行き、あたしの吐く息は白いモヤになった。


「一体誰よ!? こんないたずらまでして、なんのつもり!?」


悲鳴に近い声で必死に相手を威嚇する。


と、その瞬間。


浴槽の床に置いてあったシャンプーがグラリと揺れ、ゴトンッと鈍い音を立てて倒れたのだ。
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