恋愛禁止(ホラー)
けれど、あたしの後にお風呂に入った先輩たちはとくに何も言ってこない。


あんな状態の鏡を見て何も言ってこないなんておかしい。


あたしは寒くもないのに布団を肩にかけ、体をギュっと小さくした。


あのお風呂にはなにかがいる。


視線の主が見つからないのは、視線の主がこの世にいない者だからかもしれない。


「……呪い……」


あたしは小さく呟く。


もしも、この寮内であの髪の毛を見た生徒があたし1人だったとしたら……もしも、呪いというものが実在していたら……。


ターゲットは、あたしだ……。

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