春のこころ


「っ、あー、もう!」

「えっ、どしたの。何?」


いきなり大きな声を出した朝奈に、みんなが注目しちゃってるけど。これはどうしたらいいの?

碓氷くん、苦笑いしてないで助けてよ。


「2人の世界入るなよー。主役だろー」

「ほら、じゃんじゃん歌え」


あ、連れていかれた。朝奈の意思は完全スルーで、引きずられていく。


「桃ちゃん、晴と仲良しだよねー」

「みんな同じじゃない?」


連れていかれた朝奈は、また何だか歌わされるみたい。それを横目に可笑しく思いつつ、女子に答える。


「まあ、晴はああだからみんな仲良いけどぉ」

「桃ちゃんと話してるときと違うよ!」


すぐに恋愛に持っていこうとするのには、苦笑しかなかった。わたしと話してるときと違って見えるのは、ただ単にこの子たちが恋愛に持っていきたいからなだけだと思う。


違わないよ。そう言おうとしたとき「やっぱみんなもそう思うよね」と余計なことを言われた。

さっきの感謝帳消しにしてもいいかな。何で、そういうことばっかり言うの。

まさか、わたしのこと──


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