春のこころ
「な、わけはないか」
「何が?」
「ううん。こっちの話」
すぐそばに腰を下ろした碓氷くん。わざとらしく不機嫌そうな声で言うと、女子たちはわたしが照れていると勘違いした様子。
勝手に盛り上がっていて、否定するのも面倒で騒がせておくことにした。
「話せて良かったでしょ?」
微妙なタイミング。感謝帳消しにしてもいいかな。って今さっき思ったばかりなのに。
そう言われたら、悔しいことに感謝の言葉しか出てこない。
「話せて良かったよ。ありがとう」
「良かった」
「ところでさ、そのおせっかいって何なの?」
いい加減、知りたい。碓氷くんが、何をしたくておせっかいをするのか。
「うーん、簡単に言うと、2人がうまくいけばいいなと思って」
「何で?」
そうかな、とは何となく思ってた。でも、そんなことしたって碓氷くんが何か得するわけじゃない。
それなのに、どうして。