春のこころ
「ポテト食べようかな。朝奈も食べる?」
「うん。食べる」
お皿にとったフライドポテトを先に渡してから、自分のもとろうとすると「これ一緒に食べようよ」と朝奈に言われ、ひとつをつまんだ。
ただでさえ上がっている心拍数が、また上がったような気がする。これ以上あがったら、バクハツしちゃいそう。
「──桃野がいたから、この1年すげー楽しかった」
ふと真面目な顔をして、そんなことを言うものだから、一瞬フリーズしてしまった。
朝奈が無邪気に「固まってる」と笑うので、慌てて答えようと言葉を探す。頭をフル回転させて。
「朝奈がいたからだよ。わたしの今は全部、朝奈のおかげなんだよ」
「……」
「あ、えっと、つまり、ありがとう!」
勢いで言っちゃった。本当にその通りなのだけど、口に出してしまうと恥ずかしくなってきた。
「なんか、照れんね」
「朝奈、照れてるの?」
赤いのなんてわからないのに頬を隠す仕草がかわいくて、思わず笑ってしまう。調子狂うなあ、ほんと。
でも、碓氷くんには感謝しなくちゃかもしれない。わたしの変な意地で、話せないままいたら絶対後悔してた。