【短】大っ嫌いなアイツ
次の日。
私は隼人に会いたくなくていつもより早めに起きた。
朝ごはんがのどを通らず、気分が乗らない。
「いってきまーす。」
私が玄関のドアを開けて、目に飛び込んで来たのは・・・・
私の家の前で待つ、隼人の姿だった。
「おはよう、美咲。」
相変わらずの笑顔で近付いてくる隼人。
「来ないでっ!私に近付かないでっっ!!」
私は走って隼人の前を通り過ぎた。
・・・が、
パシッ
隼人の手が私の腕を掴んでいた。
「なに?」
腕が熱い。
私は早まる鼓動を無視して冷たい目を隼人に向けた。
「なんで、泣いてるの・・・?」
控えめに隼人が聞いてきた。
泣いてる・・・?
私の目からはとめどなく涙が流れていた。
隼人がそれを拭おうと手を伸ばしてきた。
パシンッ
辺りに乾いた音が響いた。
「触らないで。・・・あんたなんか嫌いなのよっ!!」
私はまたその場を逃げ出した。