【短】大っ嫌いなアイツ
「会長、これが今度使う資料です。」
隼人が私に書類を渡した。
「ありがとうございます。副会長ももう帰ってよろしいですよ。後は私がやっておくので。」
私は資料を受け取ると、隼人を見ずにパソコン画面に視線を戻した。
「美咲。」
凛とした声が2人きりの部屋に響く。
「何でしょう、中村君。」
やはり隼人を見ずに言う。
「美咲、こっち見てよ。」
「嫌です。それに仕事があります、用がないのなら帰ってください。」
「こっち見ろって言ってんだろっ!!?」
隼人が声を荒げた。
初めて聞く隼人の声に私は恐怖を覚えた。
「・・・ごめん。でも、聞きたいことがあるんだ。」
恐怖で固まる私に隼人は優しい口調で言った。
「・・・手短におねがいします。」
私はノートパソコンを閉じた。