死にたがりの少女をさらった愛することを忘れた狐
_コンコン
ノックの音と共に入ってきたのはあの人だった
「いづみ、怪我は大したこと無かったみたいね」
「・・・すみません」
「まあ、今は安静にしておきなさい」
「はい」
それだけいうと、病室から出て行った
それと同時に看護婦さんも一緒に出て行ってしまった
言いたいことも言えない
この看護婦さんに言ったことが外に漏れたらそれこそ大変なことのなりかねない
「はぁ・・・」
気がつけば
泣いてばかりだと思った
この苦しみは私以外には分からない
本当は死にたかったのに
この世界から消えてしまいたかったのに
なんでそれすら出来ないんだろう
私の意志が弱いから?
そもそも、最初からこの世界に居場所なんてなかったんだっけ・・・
自分を保たないと
迫ってくる闇に飲み込まれてしまう
それでも、今ならその闇のほうが
私には天国にしか見えない
いっそのこと、もう飲み込まれてしまおうか・・・