死にたがりの少女をさらった愛することを忘れた狐
体に残る自傷の痕
これらは無理やり生かされている証
死ねると思ったから飛び降りたのに
死ねなかったのは神様の気まぐれなんだろう
後日聞いた話では、飛び降りた下はごみ置き場で、ごみがクッションになってくれたそう
それでも全身打撲で2週間は入院をしないとならない
今だけはあの忌々しい毎日を忘れられるだろうか
そんなある日
「いづみちゃん、これ。」
手渡されたのは千羽鶴
「クラスの子が届けてくれたのよ」
「・・・っ」
鋭い痛みが走る
良く見ると、紙の所々にカッターの刃が仕込んであった
「ふふ、学校に通うのが楽しみね」
「・・・・そう、ですね」
泣きそうになるのを堪える
今だけは忘れられると思ったのに
何で・・・
どうして・・・
ぼやける視界で手書きのメッセージを読む
『日直代わっておくからね☆』
『がんばって元気になって!』
『寂しいから早く来て~』
『夏休みは一緒に旅行いこうね』
『いつまでも待ってるよ』
その言葉には何の感情も感じられない
ふと、何気なくそのメッセージの頭文字を縦に読んでみる
【ニガサナイ】
背筋が凍った
私はもうこの狭い鳥かごから逃げられない
それを改めて認識した
それはもう生きることを諦めざるおえない
そう悟った夕暮れだった。