死にたがりの少女をさらった愛することを忘れた狐
「これで信じたか?」
細く笑うその姿はあまりにも綺麗で
信じるほかすべはなかった・・・
「お前、名前は確かいづみだったよな?」
「そうですけど・・なんで名前」
「細かいことは気にするな」
しなやかな手が伸びてくる
「いづみ」
「はい!」
「契約は成立した」
「・・・・え?」
「この姿を見たものを自らの獲物とし、死ぬまで傍に置くという契約だ」
「そ、そんな勝手に・・」
「俺の傍にいれば、もう泣くことも苦しむこともないぞ?」
その言葉は魔法のようだった
「本当?」
「ああ、嘘は付かん」
きっとこれは夢なんだ
分かってる
それでも、少しで良い
この現実から逃げられるならば
その手をとってしまった
けれど
これはきっとユメだから
目が覚めたその時は
また苦しい毎日が始まるんだ_