死にたがりの少女をさらった愛することを忘れた狐

「これで信じたか?」

細く笑うその姿はあまりにも綺麗で

信じるほかすべはなかった・・・

「お前、名前は確かいづみだったよな?」

「そうですけど・・なんで名前」

「細かいことは気にするな」

しなやかな手が伸びてくる

「いづみ」

「はい!」

「契約は成立した」

「・・・・え?」

「この姿を見たものを自らの獲物とし、死ぬまで傍に置くという契約だ」

「そ、そんな勝手に・・」

「俺の傍にいれば、もう泣くことも苦しむこともないぞ?」

その言葉は魔法のようだった

「本当?」

「ああ、嘘は付かん」

きっとこれは夢なんだ

分かってる

それでも、少しで良い

この現実から逃げられるならば





その手をとってしまった

けれど

これはきっとユメだから

目が覚めたその時は

また苦しい毎日が始まるんだ_
< 16 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop