死にたがりの少女をさらった愛することを忘れた狐

名前を捨てるっていったいどういう意味だろう

「それってどういう意味ですか」

何か嫌な予感がするけれど

聞かなくちゃ分からない


「お前のその名前は人間が名付けたものだろう」

「そう・・ですけど」

「今、お前の肉体は確かに存在する。」

意味が良くわからない

だって私は生きてる

死んでるわけじゃないんだから当たり前な話で・・・

「だが、お前は俺と契約した。今のままだとその肉体は滅びていくぞ」

「滅びる・・・?」

「人間界とこの世界では環境が違う。妖怪どもの正気に当てられ続ければ、いずれその体は朽ち、魂までも無くなる」

「そんな・・・」

「お前に死ねというわけじゃない。名を変えろ、そういってるんだ」

「そうすれば体も心も変わらず『生きる』ことが出来る」

それって、私は死んだのと変わらない

橋本いづみはこの世から完全に居なくなることを示してる

「そんなの・・・いやです」

「まあ、決めるのはお前だ。俺は気まぐれに拾っただけだ。好きにするが良い」


冷たい一言だった

なんでこんなに壁があるの?

吟華さんってこんなに、こんなに

冷たいヒトだったんだ_。


5話/ [完結]
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