死にたがりの少女をさらった愛することを忘れた狐
目が覚めたら、目の前には吟華さんの顔があった
「だから言ったろう。今はお前の心の中に妖が入って行って闇へ引きずり込もうとされたんだ。」
怖い
夢のはずなのに、痛くて怖くて苦しかった
「もう眠ることすら怖いんじゃないのか?」
「っ!」
また目を瞑ればあの闇が私を追いかけにくるかもしれない
それを思うと怖くて寝るのが怖い
「捨てろ」
「名前・・・?」
「そうだ、そんなに死にたいのなら必ずお前を殺してやる」
「約束、してください」
指切りをする
必ず、私を殺してくれると
綺麗な瞳は嘘をついていなかった
「わかりました。名前を捨てます。」
6話/[完結]