死にたがりの少女をさらった愛することを忘れた狐
2話[SOSすら届かない]
昨日は授業すら受けられなかったけれど
今日は私の席があって
誰も何もしてこない
普通に授業を受けられている
それが逆に怖い
「いづみ。」
呼ばれて振り返る
「ちょっとお願いがあるの」
「お願い?」
「足元に私の消しゴム落ちてないかな?」
言われた通りに足元を見ると確かに消しゴムが落ちてる
「とってくれない?」
これを取ったら何をされるんだろう
殴られる?
蹴られる?
また罵声を浴びせられる?
「ねえ、早く」
恐る恐る消しゴムを取って渡す
「ありがとう」
それだけで何ごともなくその日は終わった
どこかおかしい
なにかが始まるのではないか
そんな疑心暗鬼しか頭を過ぎらない
いじめは慣れた筈なのに
初めて学校が怖いと思った