マシュマロラズベリー
今、瞬也の口の中で、私の作ったチョコレートがとろけている。そう思うだけで、体の芯がドクンドクンと波打ち、それが頬まで伝ってきて、耳の中に火照りをもたらした。
「うまいよ」
「本当ですか?」
「ああ。でも……本当に食べたいのはこっち」
チョコレートのついた瞬也の唇が私の唇に触れた。
それはコーヒーリキュールの香りが漂う大人のキス。
「……柔らかい。マシュマロみたい」
「私の唇がマシュマロ?」
「そう、マシュマロ。もう一回させて」
「うん」
瞬也との二回目のキスは甘酸っぱいラズベリーの味がした。
もう抑えきれない。私の全てがミントを浮かべた炭酸水のように弾けた。
「私、瞬也の事が好き」
「俺もその唇が好き。それ以上に君が好きだよ。だからもう一回」
キスをせがむ瞬也が可愛くてたまらない。その後、私たちは何度も何度も唇を重ねた。
唇って気持ちいい。
私の唇はマシュマロラズベリー。愛する人のその上で、甘酸っぱい刺激と共に焦らしながら、ゆっくりとろける。
【マシュマロラズベリー*END】