ドシャブリ
僕は、起き上がり狭い玄関で外に出る準備をする。
こんなに降っていては、傘もレインコートも役に立たないけど、靴下を脱いでジーンズの裾だけあげる。
僕に出きるのはそのくらいだ。
後はコンビニの袋をポケットに入れる。
煙草を濡らさない為だが、これも気休めにしかならない。
僕が雨の中に出ようとすると君が呟いた。
小さな声だが、何故か聞こえた。
「雨を止めて……」
僕は、やってみるよと君に言う。
小さな声だが君に聞こえただろう。
僕は、外に出る。
雨が僕を叩く。
やってみるよとしか僕には君に言えないけど、言い続けるよ。
やってみるよとね。
やってみるよとね。
僕は、雨の中を走り始めた。