【完】籠球ロマンティック
prologue
体育館とは違う、もっとギラギラとした光と、クラブミュージックが飛び交うその非日常。
ハーフコートの、ワンゴールだけ立つその場所で、俺と相手との一対一のぶつかり合い。
「レェェン!」
後ろからリッコのドデカイ声を受け、右足の後ろからボールをダム、と通して走り出す。
鋭く右に切り込めば、相手も俺の手元のボールを狙い、鋭く、素早くディフェンスの腕を伸ばした。
……かかった。
思わず唇の端が吊り上がりそうになるのを抑え頬を引くつかせ、そうしながらも、俺は左手と尻から下の体の部位を全てフロアに乗せて、左手を軸にぐるり、とブレイクダンスを踊るように軽やかに回る。
その、俺の見事に決まったスリッピンスライドに、観客の声援が響き渡った。
もう何も、俺を止めるしがらみはない。あの小さくて、だけど大きなゴールへ一直線に進んで行く。
その光景は、やはりあの頃よりも酷く輝いていた。
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