【完】籠球ロマンティック
「最後に、これがいないと成立しない役割な」


イツはさも自然な動作でウインクを落とすと、緑色の磁石をとん、とセンターサークル付近に置いた。


「5on5だとガードだな」


「そ。でも、このポジショには司令塔の他に、ディフェンス、大胆な動き、テクニカルが要求される。ボールを運ぶ要、所謂『ドリブラー』って人。ここはリッコとラブの役割だ」


チームの中で一番の冷静さを持つリッコと、ボール運びには自信がある俺。


「ラブは中坊上がりの年齢とは思えないほどにシュート力とボールをコントロールする力、それと機転を持っている。だから、加入によって戦略の幅が広がった。ね?リッコ」


「えぇ!勿論よ!ただ、私よりも無いそのスタミナはなんとかしとかなきゃ使い物にならないわ」


「手厳しー。努力はしますけど」


こうして話を聞いていると、3on3と5on5の共通点、逆に相違点、それらがかなり見えてくる。


「なんか……目標にしてるトライアウト4回目の三月までに色々覚えなきゃいけないことが沢山ある気がしてきた」


目標まであと4ヶ月ちょい。これが余裕があるのか無いのか、全く分からない数字になった。
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