【完】籠球ロマンティック



学校が休みの土曜日は、11時から17時までショップで働いて、それからバスケを打つのが俺の日課になっていた。


「店長ー、売り上げとスニーカーの在庫が合わないんだけど。……ところで、今日はイカしたスニーカー履いてるね」


「え?気付いちゃった?……わわ、ごめんって!ちゃんとお金払うから!」


琴音店長の毎度の『店の物を勝手に身に付ける病』に俺はチェック柄のスクウェア型眼鏡をくいっと持ち上げて目敏く注意する。


バイトの時は学校の時と違い、ツーブロックをひけらかすように髪の毛を固めてオールバックにした俺は、コンタクトではなく眼鏡をかけている。


コンタクトばかり付けて慣れてしまうと、眼鏡との兼ね合いが悪くなると聞いたことがあったし出来るだけ使い分けているってとこ。


ってか、ホントはずっと眼鏡でも良いんだけど、動く時邪魔だし、眼鏡のデザインのせいかもっと派手に見えるんだよな。


「店長そのスニーカー18900円だからね」


「後一週間待ってくれない?」


「当店、ツケ勘定は行っておりまっせーん!」


……全く、どっちが店長だか分かんないよこれじゃ。
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