【完】籠球ロマンティック
琴音店長は笑うだけ笑い、他の客の会計の為にレジに戻っていく。


妙な空気で沈黙していた俺達だったが、それを破ったのはイツの方。


「ラブさぁ、バイト何時まで?」


「ん?あー、あと30分くらい」


「お、それなら丁度良い。この後、暇?」


まるで気になる女をデートに誘うかのようにスマートに尋ねてくるイツに、歯切れの悪い返事を返すと、あちらさんは逆にその甘いマスクでふわりと笑う。


「今日、リッコが女子会行っちゃったせいで練習休みなんだろ?……付き合えよ」


「付き合うって何に?」


折角久々に休みだから、勉強したいとこなんだけど……何だろう、ちょっとイツがリッコと同じ柔らかなキラキラを放っているから、本能的にわくわくが溢れる。


「んまぁ、今の実力試しってとこじゃね?」


そして、お得意の爽やかなウィンクをひとつ落としたイツに、俺も負けじとウィンクをしてやろうと片目を閉じてみる。


「……ラブ、出来ないことは無理しなくていいよ、やっぱりお前可愛いわ」


「うっせ」


やらなきゃ良かった。頬筋ギッシギシじゃねえか、こんにゃろっ!
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