【完】籠球ロマンティック
バイトが終わり、イツのバイクのケツに乗って数十分。
「なぁイツ、クッソサミィ」
「文句言うなや。女じゃないから可愛くないんだけど」
イツからひっぺがしたライダースジャケットを羽織った俺は、それでも寒くてイツの上着の下に手を忍び込ませる。
「コラッ!冷たい!運転狂うだろーが!」
「うっせーよ!文句あるなら予備の上着とメットにプラス手袋積んどけやい!」
お互い言いたいことをピーチクパーチク言い合っているうちに、バイクは目的地へ。
それは、何度か来たことがある渋谷のジョーダンコート。
「今日はこの間のトライアウトで決勝トーナメントまで上がったチームの連中と打つ約束してんだ」
「ふーん……ってはぁ!?」
それと言うのはつまり、トライアウトに初めて出場する、俺より格上の相手ってこと?
「え、何その顔。ビビってんの?バンビちゃんみたいじゃん。ラブバンビ?」
「ウザいよおじちゃん」
ビビる?はっ!ンなわけねーし。寧ろ、メラメラ燃えてるけど。