【完】籠球ロマンティック
「いやぁ、それにしても久々にボロ負けっすわぁ!イツさんの連れて来た、そのオシャンティボーイは何者?」
勝負が終わり、コートは他のチームに譲ってフェンスの外で各々飲み物を飲む俺達六人。
イツにメロンソーダを奢らせたのは良いけど、うーん、やっぱりいつも飲んでる瓶ソーダが一番美味しいわ。
「この子はね、今ハーシーと……あれ、ラブ、ハーシーって本名何?」
「葉月。二ノ瀬葉月っしょ」
「そーそー、葉月と組んでる子」
イツからのその説明を聞いた横浜特攻部隊のメンバーは、複雑そうな、だけどどこか嬉しそうな笑みを浮かべる。
「そっか……ねぇ、勿論上がってくるつもり、でしょ?」
そう問われれば、答えなんか一つしか無いと思うんだけど。
「まーね。とりあえず、三月にはビッグウェーブ起こす予定。そこんとこヨロシク」
「あはは、楽しみにしてるよ!」
言い切った俺を、冬に近付いたような凍てつく風が吹き付けて、かいた汗が体の温度を奪っていくよう。
けれど、それすら嫌悪を抱かない。その風に乗って羽ばたいていくのも良いような、そんな気分にさえなっていった。