【完】籠球ロマンティック
「うっし!俺も頑張らなきゃなぁ」


「うんうんその調子よ!もっとスタミナ付けて頑張って!」


痛いとこ突くな。まぁ、その通りなんで頑張りますけど。


空を見上げれば、雲の浮かんだ青空が広がっていて、冬の匂いがした。


「でもね、レン。お願いだから……」


「ん?何だ?あんたにしては声が小さかったけど」


「……ううん!大丈夫、何でもないの!」


そう言って笑ったリッコの笑顔は、一見いつも通りなんだけど、マカロンの喋り方と同じでエンベロープがかかってる。


脳から筋肉に信号を発する時に、少し形を変えて拡張させているよう。


「おーいお二人さん!車準備出来たから体育館に移動ですよぉーい!」


話しているうちに大学生ボーラーと解散していたらしいハーシーが元気にこちら側へ声を飛ばす。


「何だかなぁ、寒い」


今、自分がどんな気持ちか良く分からなくて、小さく一言言葉を落とす。


白いジャージの上からナイキのパーカーを羽織れば、外に放置していたせいか、先程鼻を掠めた冬の匂いが今度は強く、鼻腔を突っついた。
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