【完】籠球ロマンティック
足首から甲にかけて、その傷は10数センチ、真っ直ぐイツの皮膚を貫いている。


縫い傷がふっくらと腫れ上がったそれは、結構、否、べらぼうにグロテスク。


その傷を、イツは憎むどころか慈しむような瞳で見つめ、そっと撫で上げた。


「み、み、ず」


「いやいやぁ、ミミズなんてカッコ悪いよマカロン。それこそこれは蛇さ。俺の飼ってる愛しのスネイクちゃん」


いつの間にか傍に寄ってきていたマカロンが、そのゴツゴツした指先でイツの飼う小さな蛇を擦った。


「これはね、男の勲章なんだ。何にも変えられない大切な物を守れた俺の大事な証」


イツの表情から、声色から、それはイツの本音なんだってことが容易く理解出来る。
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