【完】籠球ロマンティック
「何があったか分かんないけど、その傷は、イッツんとリッコの絆で、でも、捉え方は正反対みたいだね」


ハーシーは冷静に、だけど寂しそうにそう呟いた。


その声は大きな声じゃなかったのに、やけに耳に残る。


「……っは!」


「どうした、マカロン、おい?」


そして拡張は、更なる拡張を起こす。


一部始終を肌に感じていたであろうマカロンが、首を両手で押さえ、苦しそうに息をしている。


……否、声を出そうとしているように見えるが、それは喉元でつっかえて、息が抜ける音に変換されているよう。


「大丈夫マカロン?苦しいの?」


「っあ……うっ」


背中を擦るハーシーに、必死に何か訴えているマカロンだが、やはり、声にならないよう。


この短時間の間に、何が起きているんだ……?


拡張してしまったこの空間を、考えても考えても、理解できない。


分かることは、これは結構まずいことになっている、ということぐらいだ。
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