【完】籠球ロマンティック
律子は昔から『女』であることが嫌いだった。
幼少時代はそのコンプレックスを抱くことはなかったのに、日に日に『女』に化けていく自分が堪らなく疎ましかった。
特に、象徴と言える胸が、やけに憎たらしかった。
サポーターで潰したりした時期もあったが、それすら効力を持たない程に、気持ちとは正反対に、その胸は育ったのだ。
そして、その疎ましい胸は、子供から『男』に成長する異性の目を引くようになる。
発展途上の『男』から熱い視線を受けるようになったと同時に、発展途上の『女』からは冷たい視線を送られるようになった。
時には酷いイジメも受けたが、そんなことは元より気にも留めない律子にとって、問題はなかった。
問題なのは、日を重ねるごとに増える、自分には不要なきらびやかな装飾品達。