【完】籠球ロマンティック
要らない、要らない。


律子を女たらしめるその装飾品達を断捨離することは叶わぬ夢。


日に日に募るその思いさえ、律子にとっては要らないもの。


律子にとって必要なものは、彼女が彼女らしくあれる『バスケ』と、その世界を取り巻く『環境』のみなのだ。


その思いのせいで、律子にとっての必要な部分が欠落してしまうなんて、それが起きた中学二年の彼女は知らない。


「……嫌なことを思い出したわ。もう、忘れても良いのに。私には今だけがあればいいのに」


目を閉じても、瞼の裏側に蔓延る記憶達に、律子は息苦しさを感じた。


要らない、要らない、要らない。


要らないが、ミルフィーユのように何層にもなっては律子を苦しめる。


まるでごみ溜めにいるような息苦しさで、それでも、律子は故意に何も考えないようにしながら、眠りの浅瀬に足を突っ込んだ。
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