【完】籠球ロマンティック
その、律子のたわわな胸に、ずっと『堪らん手』を我慢してきた恋夜にとって、この光景は信じられないものだった。


「ちょっ!リリリリッコさん!?まずいって!ここ、外!」


寒いはずなのに、どんどん顔に熱が集中していく恋夜に対して、律子は嫌な感情が芽生えて行く。


もし、自分にこんなものが無ければ、恋夜はこのような顔をすることはない。


その恋夜の表情が、自分は『女』で恋夜が『男』だと区分しているようだった。


「どうしてこんなものがあるの……?要らないわ。胸も、女っぽいこの目も、口も、要らないのよ」


悔しい、その思いが律子の瞳からボロボロと溢れ始める。


冷えた頬に当たる涙は、やけに熱く、その部分を焼きつけるよう。


その熱い、律子の『悔しい』は恋夜の、律子に触れた手のその、骨張った甲にもパタパタと落ちる。
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