【完】籠球ロマンティック
「オラァ!そのちんけな友愛とやらで立ち上がれ!オラ、オラ!」


殴られ、蹴られ、その行き過ぎた体罰に、秋葉は力無く飛ばされ、ずるりと地面に体を預ける。


「ヤ……メロ!ヤメロォ!」


やっと出た自分の声は、秋葉を暴行するのに夢中な松尾には届かない。


「頼む……後生だから……!」


何故、部員想いの優しい秋葉が理不尽に傷つけられるのだ。


小柄な秋葉よりも、自分を殴ればいい。その方がまだ堪えられる。


なのに、論理は転がる大きなゴミだと言うかのように、松尾の目には秋葉の、力を失った体しか写っていない。


手を伸ばせば届きそうな距離で行われるそれは、まるで地獄絵図だ。


願っても、永遠の悪夢のようにその夢からは覚めない。
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