【完】籠球ロマンティック



それが終わり、松尾が去ってからのフロアは、嘘のように静寂に包まれた。


「先輩……アキッ!秋葉先輩!」


「間壁、ゲフッ!お前、大丈夫、か?」


どう見ても、秋葉の方が論理よりも傷付いているというのに、こんな時まで論理の方を優先する。


秋葉という男は、そういう男なのである。


「お前……が、いないと、勝てないからな」


「先輩のアホ!ンなの、先輩だって同じだろ!いなきゃ、あんたがいなきゃ、俺達どう動きゃいいのかわっかんねーし」


勝ちたい、願いは、秋葉の願いはただそれだけだったのに、それ以外には何も望んではいなかったのに。


その日は自らの足で、いつものように帰った秋葉が亡くなったと論理が聞いたのは、翌日の昼頃だった。
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