【完】籠球ロマンティック
何が悲しいかって、冬の、星の煌めく結構ロマンティックな風景の夜道を、男二人で二ケツで進むこのシチュエーション。
目的地を知るのはヒイロのみだから、ヒイロは前で、俺は後ろの荷台に座ってる状態。
二ケツって憧れのシチュエーションだけど、実際後ろってタイヤの衝撃もろ食らうし、気分は良くない。
男のケツでこんなに痛いんだ。柔肌の女が後ろだったら相当痛いだろうに。
少女漫画のヒロイン共はきっと、岩石のようなケツなんだ。
そんな下らないことを考えているうちに、ヒイロが運転するチャリは止まり、ゴール地点へ。
「何これ……居酒屋?」
「うん。実家兼お店、みたいな。あ、お酒は出さないからね。後、家への客人だから、お金も取らないよ」
気遣い有り難いが、どの道財布は持ってきてないし払えと言われても払えない。
ガラッと横にスライドするタイプのドアを勢い良く開けたヒイロは、ガバッと俺の腰を抱いた。
「なっ……!?」
「家出少年捕獲ぅ!」
嫌に明るい声で言ったヒイロにも驚いたが、店内でワイワイしているメンツにも驚く。
そのメンツは、ほんの数時間前まで一緒に練習していたオルフェのメンツとプラス、一際幼い顔のハーシーだったからだ。