【完】籠球ロマンティック
俺の返事に、イツは不満そうにム、と唇を尖らせる。


あ、この顔リッコに似てる。流石兄妹だな。なんて、こんなこと思ってんのバレたらリッコに嫌な顔されるだろうな。


ぼんやりイツの顔を見つめていると、イツが物凄いスピードで俺の耳をひっ掴み、ブリキを回すようにグリングリンと動かした。


「イデデデ!何すんだコンニャロ!」


「このおバカ!『出来たらやる』じゃなくて『出来なくてもやる』んだよ!」


そう強く言い放ったイツは、ようやっと俺の耳を解放する。


ヒリヒリする耳を自分の掌で押さえ涙目でイツを睨めば、口を尖らせた奴は腕組みで睨み返す。


「いいか、ドリブラーのポジションにいるお前はゴリゴリボーラーでなきゃならん!ただの出来るプレイヤーじゃ優勝なんて到底ム、リ!分かる!?」


「分かるよ、じゃあどうしろってんだ」


ンなこたぁ分かってるよ。俺がもっとレベルを上げなきゃスネイク・オーバドゥは優勝することなんか出来やしない。イツの言う通りだ。
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