【完】籠球ロマンティック
「うわー、レンレン、またやってるね」
「基本負けず嫌いなのよね。レンって」
あのイツとの一本勝負からすぐに冬休みに入った。
俺やリッコ、マカロンは日常行われている練習にプラス、昼間から集まって同じように冬休みの学生ボーラーと打ったり、練習に励む日々。
そんな中、俺はイツが見せたあの技『スリッピンスライド』を練習するようになった。
手と尻を支点に回る時、どうしてもボールが手から零れてしまう。
悔しい。これを覚えれば、俺はとびっきりの飛び道具を手に入れることが出来るのに。
「ダァ!チクショー!」
「ほら、レン無理しなーい!大丈夫、時間はまだあるじゃん!」
仕事を終えてやって来たハーシーが、地面に横たわり足をじたばたさせる俺の額に瓶ソーダを置いて、一重瞼の幼い目を細めた。
「あ、レン。掌から血が出てる。いたそーっ!」
「うわ、マジか。……でも、よし!今日ラストやる!ハーシー、相手してくんね?」
まだまだすぐに出来そうにはないけど、でも、フーズガット迄には間に合わせたい。
時間があると言えど、もう、フーズガットまで一ヶ月とちょっとしかないんだ。
12月から1月へ。俺達のステージはどんどん近付いていた。