【完】籠球ロマンティック

toi toi toi

「二ノ瀬!時間だぞ!お疲れ様!」


「はい!お疲れ様ッス!」


1月の、寒さが激昂する時期でも関係なく、車の整備の仕事をする葉月にとっては暑く、額のべとつく汗を作業着で拭う毎日。


上司から声がかかり、葉月はオイルで汚れた軍手をゴミ箱に投げ、作業着から私服へと着替える。


「んーっ!皆もう、練習やってるかなぁ。やってるか、冬休みだもんね」


独り言を言ってふふ、と笑った葉月はロッカーを閉め、愛車の鍵を握り締めて微笑む。


キラキラした恋夜や律子、論理との練習風景を、変わらず最愛の恋人金石へ語りに向かう、そんな日常。


「あ……俺、そういえば今日誕生日だ」


高校一年生の冬の日、彼女が眠りに就いてから、時間が止まったようにぐんぐん伸びていた身長の成長が止まり、声も変わったが高く、あの頃から何も変わらない葉月。


けれど、時間と言うものは誰しも平等に振り分けられ、止まっているようだが、葉月もまた、その時間の中で生きている。


スネイク・オーバドゥの中で誰よりも幼い見た目の葉月は、24歳の年を迎えていた。
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