【完】籠球ロマンティック
そんな葉月に、恋夜と逸人は顔を見合わせる。


「あー……いつも遅刻すんのって見舞いの為?前、女絡みって言ってたけど、彼女さん、どっか悪いの?」


「体は、悪くないんだけどねぇ」


そう。金石は体は悪くないのだ。意識が少し、葉月の住む世界と違うところにいるだけ。


葉月は迷っていた。これまで、誰にも金石のことを話したことが無いから、恋夜や逸人に話しても良いものか、心が揺れていた。


でも……隠すことでもない、か。


何となく、葉月はそう思った。深い眠りに就いた彼女は、恥ずかしい存在ではないんだと、そう思った。


「ついて、来る?」


椅子から立ち上がった葉月の顔は、いつもの明るい顔ではなく、たまに見せる、大人びた、寂しい笑顔だった。


恋夜と逸人はそんな葉月に、黙ってついて行くことに、それぞれの心の中で決めた。
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